(ロンドン) HSBCが実施した2021年サステナブル・ファイナンスと投資調査によると、世界の資本市場で資金調達する企業の94%は、今後5年以内に環境面や社会的に問題があるビジネスモデルからの転換を図ることを計画している。
投資家は企業にこのような変化を求めており、投資家の88%が投資先企業が気候変動の影響に備えることが「重要」あるいは「非常に重要」であると回答した。調査によると、これら投資家の4分の1近くは、信頼に足る計画を持たない企業から投資を引き上げると考えている。
一方で、発行体の企業は半数が自社の事業がすでに気候変動の影響を受けているとしている。この数字は昨年の37%を上回り、過去最高となった。同時に、企業の70%は気候変動のメリットを受けるビジネスに着手する、または強化することを検討している。
多くの企業が気候変動の影響を受けている
「企業はネットゼロカーボンの世界への移行を目指し行動を起こしている。投資家、顧客、政府、規制当局の期待が高まる中、2050年の温室効果ガス削減目標を達成することが肝要だ」と、HSBCのグループ・チーフ・サステナビリティ統括責任者であるセリーヌ・ハワィエは話している。そのうえで「HSBCは資金を動員し、イノベーションを加速してグローバルにネットゼロへの移行を主導している。サステナブル・ファイナンスは地球の未来を守り、グローバル経済をよりレジリエント(弾力性)があり、包摂的で繁栄したものとする上で、極めて重要だ」と述べた。
環境・社会・ガバナンス(ESG)投資を妨げるものは何もないと回答した投資家は、昨年の調査では54%だったが、今年は64%に増加した。37%はESG投資を控えているが、その原因として専門知識や適切なスタッフが不足していることを挙げている。
特筆すべきことに、比較可能なESGデータの不足、またリターンの低さといった要因を投資のハードルとして挙げる投資家は減少し、それぞれ昨年の50%と39%から今年は31%と25%に下がった。ただし、投資家は発行体の企業が環境に関する開示を改善することが必要と考えており、全体の40%は開示を「不十分」とし、39%は「許容範囲」に過ぎないと回答している。発行体による開示が不十分な地域として、アジアと中東が挙げられた。
投資家はグリーンウォッシング、すなわち環境に配慮しているように偽る行為も危惧しており、懸念事項とする回答者が全体の69%にのぼった。なかでも南北アメリカ大陸では64%が「深刻な問題」と回答している。
持続可能なインフラ投資(サステナブル・インフラ)のように、特定の問題を持続可能であるとして独自に検証されていることを示すラベリングシステムを策定する動きがある。投資家の半数は、こうした取り組みが実施されれば、サステナブル・インフラへの投資に自信が持てると回答した。
発行体についての開示を強化し持続可能な企業を投資先として特定するため、中国と米国の投資家は規制当局にESGに関する問題への関与を強めてほしいと考えている。
HSBCホールディングスplc HSBCグループの持株会社であるHSBCホールディングスplcは英国・ロンドンに本部を置いています。HSBCグループは、ヨーロッパ、アジア・太平洋、南北アメリカ、中東、北アフリカにまたがる64の国と地域でお客さまにサービスを提供し、2兆9,760億米ドル(2021年6月末現在)の総資産を持つ、世界有数の金融グループです。
HSBC サステナブル・ファイナンスと投資調査 2021 HSBCのサステナブル・ファイナンスと投資調査は世界の証券発行体と機関投資家2000社を対象に年に1度実施される調査です。調査はユーロマネー・インスティテューショナル・インベスターPLCの設計・実施により、5月と6月に行われました。回答者は19の業種に属する発行体のほか、アセットアロケーターとアセットオーナーを含む機関投資家に二分され、南北アメリカ、欧州、中東、アジア・太平洋、東南アジア諸国連合の合計34地域を拠点とする回答者が対象でした。グローバル・レポートとアジア・太平洋、南北アメリカ、中東、欧州の地域レポートはこちらから閲覧ください: https://www.gbm.hsbc.com/en-gb/campaigns/sfi-survey