日本株に対する国内投資家の強気姿勢が目立っている。11月のQUICK月次調査<株式>によると、11月末の日経平均株価の予想は2万9809円だった。月末の予想としては1994年4月の調査開始以降の最高値を更新し、前月時点を1260円上回る水準だった。衆議院選挙で自民党が単独で絶対安定多数となる議席を獲得し、政治への不安が後退して市場に安心感が広がったようだ。
現時点では岸田政権の政策に対する期待はさほど高くない。成長と分配の実現を目指す「新しい資本主義」は、「期待できない」(41%)や「政策の趣旨がわからない」(26%)などの見方が多かった。自民党が公約に掲げた企業の四半期開示の見直しへの考えを聞いたところ、「賛同できない」(36%)や「反対」(12%)との否定的な回答が半数近くあった。一方で「情報量の増加など条件付きで賛同できる」も26%の支持を集めた。「開示義務がなくなっても、投資家のために開示を続ける企業は多いと思われる」(投信投資顧問)との意見があった。
11月12日まで約2週間にわたって開催されている第26回気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)では、脱炭素に向けた取り組みが議論されている。岸田首相は2日に現地入りし、滞在時間約8時間の強行日程で臨んだ。
脱炭素への日本の後手の対応が目立つものの、東京ガスなど一部の企業で脱炭素投資を手厚くする動きがみられている。その代わりに東京ガスは株主還元を縮小する考えだ。脱炭素に注力するために株主還元を減らす動きが企業価値に与える影響を聞いたところ、35%が「中長期的な企業価値向上に資する」、47%が「企業価値は高まらない」と回答し、見方が分かれた。「これまでの新自由主義的思想下では企業価値=株式時価総額との捉え方が主流だったが、企業価値の定義が変わっていくのではないか」(投信投資顧問)との意見があった。
調査は国内機関投資家の運用担当者など210人を対象に実施し、124人が回答した。調査期間は11月1~4日。