【日経QUICKニュース(NQN)】金融情報会社のQUICKは10日午後、「ファンドラップの台頭と資産管理型営業の実践」と題した資産運用討論会を開いた。金融庁の井藤英樹・政策立案総括審議官が基調講演し、信託報酬や手数料の負担が継続的に発生するファンドラップについて「費用対効果の高い十分な付加価値を提供できているか、顧客への正確でわかりやすい説明が重要だ」と強調した。
国内株式を組み入れ対象としたアクティブ投信に関しては「信託報酬控除後で、半分以上のファンドがアルファ(ベンチマークに対する超過収益)がマイナスで実質コスト割れしている」と指摘。販売手数料や信託報酬等の設定は「収益を毀損しない水準とすべきだ」との考えを述べた。
資産運用業界でも大きな流れになっているESG投資については、うわべだけの環境配慮「グリーンウォッシュ」にならないよう資産運用会社で適切な商品設計を行い、顧客への十分な情報提供を求めた。
また、大和証券の小野沢潤投資顧問事業部長と野村グループのウエルス・スクエアの酒井信之介社長、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の宮本諭投資顧問部長の3人がパネルディスカッションに登壇し、自社の取り組みなど紹介した。3人は「アフターフォローがファンドラップの付加価値の1つ」との認識で一致した。
顧客の要望に応じて投資信託で一任運用するファンドラップの運用残高は過去最高を更新し、販売会社数が拡大している。登壇者からは「(資産運用だけでなく)相続に備えて相続の受取人指定サービスといった付帯サービスも行っており、好評だ」(小野沢氏)、「参入後発組として、顧客に定期的レビューや相場が崩れた際の臨時レビューを行うなど顧客に寄り添うサービスを重視している」(宮本氏)など、付加価値向上のための取り組みが説明された。
酒井氏はウエルス・スクエアがファンドラップ専門の投資顧問会社で地域金融機関に対してシステム開発・運用を担う「黒子役」となっていることを説明。「地域金融機関向けの人材研修やコンサルを継続的に行っており、社会の公器を目指す」と語った。登壇者は、ファンドラップは証券会社が手数料重視型の営業から資産管理型営業へ転換していく起爆剤となるとの考えで一致した。