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東レ(3402) 今期は増収、増益を見込むが、利益面で従来予想を下方修正

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2022/06/03)

・数量増に加えて値上げが進むが、原料高も進展
 23/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上収益2兆3300億円→2兆5200億円(前期比13%増)、事業利益1520億円→1420億円(同8%増)へ修正する。この期は従来から、機能化成品部門がABS樹脂の採算悪化で伸び悩むものの、主要製品の販売数量増で原料高などを吸収し、連結全体で増益になるとみていた。見方に大きな変更はないが、足元で想定以上の原料高が進むほか、自動車減産も長期化。数量増と値上げの効果で前期比では増益となるものの、従来予想には届かない見通しとなった。続く24/3期以降は、主要製品の出荷拡大で増収、増益を見込む。利益水準の一段の向上へ向け、航空宇宙用途の炭素繊維の需要回復が待たれる。

・前期は主要製品の数量増で業績が回復
 22/3期の連結事業利益は、前期比46%増の1321億円で着地。主要製品の出荷が総じて増加し、原料高や自動車減産の影響を吸収して21/3期にコロナ禍で落ち込んだ業績の回復が進んだ。

・リスクファクター ~旅行需要の回復遅れなど

・アナリストの投資判断 ~業績回復を追い風に、株価は徐々に上昇へ
 21年を通じて700円を挟んだ水準でもみ合いを続けていた株価は、22年に入って500円台半ばまで下落したものの、足元では再度値を戻しつつある。直近では当研究所の今期予想連結PERで約11倍と、同社の過去の平均を下回る。航空宇宙用途の炭素繊維の需要低迷が長引いているうえ、足元で原燃料高や自動車生産台数減少が収益の圧迫要因となっているため、大幅なPER上昇は難しいが、業績が全般的に回復基調にある点を考慮すると、同社の過去の平均的な水準をやや下回る12倍程度の評価は可能だろう。下値不安は小さく、株価は徐々に上昇に向かうと考える。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

伊藤 健悟

シニアアナリスト

化学・繊維セクター担当


【プロフィール】
大阪大学経済学部卒業。山一證券入社、メリルリンチ日本証券を経て、現在に至る。
山一證券在籍時は個人向け営業に従事。マクロ、ミクロの両面からの事業環境・経営状況の分析に加え、その際に培った個人投資家の視点も重視しつつ、レポートの作成や講演などを行うことを心がける。


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