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米国株の下落は峠越す 岸田政権「目標が不明確」 QUICK月次調査・株式

世界的なインフレの進行やハイパーグローバリゼーションの見直し機運の高まりなど、経済・市場環境が大きな転換点を迎えるなか、4月から5月にかけてダウ工業株30種平均(ダウ平均)は約90年ぶりに8週連続で下げ、米国株式相場が調整色を強めている。5月には岸田文雄首相が5月に英ロンドンで「資産所得倍増プラン」を打ち出し、金融審議会が企業ディスクロージャーの充実・効率化の方針を決定するなど日本の経済・資本市場の改革に向けた動きもみられる。こうした動きを市場参加者はどう捉えているのであろうか。

6日に発表された6月のQUICK月次調査<株式>で、4~5月にダウ平均が大きく調整した要因を尋ねたところ「米国のタカ派的な金融政策」(26%)、「割高なバリュエーションの修正」(25%)、「インフレの長期化」(24%)、「米国景気の失速・企業業績の悪化」(23%)の4つの理由がほぼ横並びとなり、「ロシアのウクライナ侵攻の長期化」(2%)、「中国経済の失速」(0%)を選択する関係者は殆どいなかった。

今年のダウ平均の安値とその時期の予想を尋ねると「すでに安値をつけた(5月19日の3万1253ドル)」とする関係者が48%に上り、6月以降に安値をつけると予想する回答の中央値も「2万9850ドル」と、5月の底値から4.5%程度の下落しか想定していない。米国の株式市場に対しては強気の見方が多い。

米国株の下落が日本株に与える影響を尋ねたところ、日本株は「下落するが、米国株に比べれば下落率は小さい」(68%)、「あまり下落しない」(10%)との回答が8割弱を占め、日本株にも楽観的な見方が大勢だった。

一方で岸田首相が打ち出した「資産所得倍増プラン」に対する評価を尋ねたところ、「目指すものが不明確」(33%)、「実行力が期待できない」(28%)との回答が6割を占め、「どちらかといえば評価する」(30%)、「高く評価する」(6%)を大きく上回ったうえ、金融審議会の企業ディスクロージャー充実・効率化方針も、「ほとんど影響はない」とする回答が58%を占めた。

日本の経済・資本市場の改革に向けた動きは、まだまだ不十分だと市場参加者が見ていることが改めて明らかとなった。資本市場改革や企業のガバナンス改革、それを後押しする投資家の建設的なエンゲージメントなど、わが国の持続的な成長に向けた各関係者の主体的な行動が期待される。

調査は国内機関投資家の運用担当者など207人を対象に実施し、121人が回答した。調査期間は5月31~6月2日。

【ペンネーム 琴徹久】


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