外国為替市場でドル高・ユーロ安が一段と進むとの見方が広がっている。QUICKと日経ヴェリタスが共同で実施した10月の月次調査〈外為〉で、市場関係者に2022年のユーロの対ドル相場の安値予想を聞いたところ「1ユーロ=0.93~0.95ドル台」との回答が56%と過半を占めた。ユーロは今年、対ドルで大幅に下げ、1ユーロ=1ドルの「等価(パリティ)」を20年ぶりに下回って推移するが、9月に付けた0.95ドル台の安値からなお下落余地があるとみている。
ユーロの軟調な値動きが続くとの予想が広がるのは、欧州景気の見通しに暗雲が立ち込めているためだ。ユーロ圏経済は4~6月期までプラス成長を確保しているが、調査では45%の回答者が「10~12月期からマイナス成長となる」を選んだ。「7~9月期からマイナス成長」と合わせると8割以上が年内にマイナス成長に陥ると見ており、「マイナス成長は当面回避」とみる市場関係者はわずか3%にとどまった。
大幅な利上げを続ける米連邦準備理事会(FRB)を追うように欧州中央銀行(ECB)も金融引き締めを急ぐ。ECBが10月の理事会でどう動くかを聞いたところ、政策金利については「0.75%の利上げ」が56%で最多、保有資産圧縮も「資産の圧縮に向けた議論を始める」が70%に上った。9月に続き0.75%の利上げになれば米国に引けを取らないペースになる。
ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎アナリストは、「経済懸念や政局不安を背景に、金利差から見た適正水準以上にユーロが売られている」と話す。冬場には天然ガスの需要が大きく膨らむことから、天然ガス価格の高騰が欧州景気に一段と打撃を与える可能性があるという。
市場関係者、円買い介入「効果あり」65%
月次調査で市場関係者に「介入による円安防止効果はあったと思うか」を聞いたところ、65%が「効果はあった」と回答した。
9月22日の介入は急速な円安・ドル高進行に歯止めをかけた。「円安の速度を緩める効果はあった」など、一時的でも急激な円安を阻止する姿勢を示したこ
とが評価されたようだ。
もっともドル円相場の水準自体の是正や、円高転換を促すほどではないとの見方が大勢だ。
調査は10月11~12日に実施し、金融機関や事業会社の外為市場関係者70人が回答した。