3月期決算企業の4~9月期決算発表が続いている。一部には経営陣が記者会見に応じる企業もある。日経QUICKニュースが配信した記者会見の経営コメントを以下にまとめた。
◇アンリツの浜田社長、5G投資需要「しばらくは横ばい」
アンリツ(6754)の浜田宏一社長は28日の決算説明会で、高速通信規格「5G」に関する設備投資需要について「しばらくは横ばいで続くだろう」と述べた。2023年にピークを迎えるとするこれまでの考えを変えたという。5Gの活用領域が拡大が見込まれることが背景にあるという。
足元のインフレの影響については「スマートフォンなどの買い控えによってメーカーの設備投資が減れば、通信計測機器の需要減につながりかねない」と懸念を示した。
◇デンソーの松井取締役、半導体需給「来年以降に緩むか」
デンソー(6902)の松井靖取締役は28日開いた2022年4~9月期の決算記者会見で、足元で不足が続く半導体の需給について「来年以降、少しずつ緩むのではないか」との見通しを語った。
松井取締役は民生向け(汎用品)の半導体に関して「需給がバランスしてきている」との認識を示した。半面、自動車向けの特定の用途にカスタムした半導体である「ASIC」は「(生産)能力の増強が追いついていない」と説明した。複数の汎用品を組み合わせてASICの機能を代替するなどの施策を実施しているという。
大手自動車メーカー各社は積み上がった受注残を解消するために強気の生産計画を示しており、松井取締役は「『(自動車を)ちょっと作りきれないな』というところもあるようだ」と述べた。その一方で「年初にあった非常に高い計画からは10%程度の下振れにとどまるだろう」との見通しも示した。
◇マネックスGの松本社長「株価上げる政策を」 政府の資産所得倍増プランに
マネックスグループ(8698)の松本大社長は28日開いた2022年4~9月期の決算記者会見で、岸田文雄政権が掲げる「資産所得倍増プラン」に関して問われ、「クルマが売れるのはクルマがいいからだ」と例を挙げ、株式を買う人を増やすために「一番効率的で効果的な政策は株価を上げることだ」と語った。
松本社長は政策の一例として「配当の損金算入を認める」ことで、企業が配当を増やせるようになり、株価が上がるとの見方を示した。「日本に残された『虎の子』は資本市場くらいしかない」と指摘したうえで「国内総生産(GDP)や人口は1.5倍にできないが、株価は1.5倍にすることができる」と述べた。米国のように株価が上がることが「良いことだ」という世論の形成が必要だと強調した。
松本社長は、米ナスダック上場の準備を進めているマネックスG傘下の暗号資産取引所コインチェックについて「(上場に向けて)着々と進めていきたい」と述べるにとどめた。特別買収目的会社(SPAC)との合併により上場を目指している。
◇岡三の大杉常務執行役員、仕組み債販売「私募に限定」
岡三証券グループ(8609)の大杉茂常務執行役員は28日開いた2022年4~9月期の決算記者会見で、個人向け「仕組み債」の取り扱い方針について「小規模の私募形式に限って提供している」と説明した。私募形式は顧客に応じて個別に組成するため、「顧客本位の業務運営に関する原則(FD=フィデューシャリー・デューティー)」にかなうとの認識を示した。公募形式の仕組み債の販売は、すでに21年9月に取りやめている。
世界でインフレが続き、各国中銀が23年春頃までは利上げのスタンスをとるとの見方がある中で、大杉氏は今後の市場環境について「超円安を受けた企業の国内回帰を通じて、日本株が強いのではないか」との見方を示した。
◇東海東京の合田社長、仕組み債販売「対象を制限して継続」
東海東京フィナンシャル・ホールディングス(8616)の合田一朗社長は28日開いた2022年4~9月期の決算説明会で、仕組み債の販売について「販売基準の見直しを行いながら継続していく」と語った。利回りが高い一方でリスクも大きい仕組み債を巡っては、大手証券会社や地銀などで販売停止が相次いでいた。合田社長は「販売対象(とする顧客)は従来よりも制限する」との方針を示した。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕