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株主総会とは? 開催時期や決議内容、株主が持つ権利などをわかりやすく解説

記事公開日 2023/5/19 18:00 最終更新日 2023/5/19 18:00 経済・ビジネス コラム・インタビュー 株主総会 市場用語再点検 金融コラム

【QUICK Money World 辰巳 華世】株主になると参加できる株主総会。株主総会に出席するとどんな良いことがあるの?と思う個人投資家の方もいらっしゃるかもしれません。

投資家にとって株主総会は経営の重要事項を決議したり、企業とコミュニケーションを取る重要な場です。今回はそんな株主総会についての基本的な説明から株主の権利や議決内容、株主総会の重要性について解説します。

■株主総会とは?

株主総会は、株式会社の最高意思決定機関です。株主が会社に関する意思決定を行うために、会社から提案された議案を検討し決議します。

1年に1回開かれる定時株主総会では、企業経営者が1年間の事業報告をし、株主が経営の重要事項を決議します。株主総会は「株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる」(会社法第295条第1項)として、強い権限を持っています。

個人投資家の場合、企業の経営陣に直接会うことは中々難しいと思います。ですが、そんな私たちでも株主となり株主総会に参加すれば経営陣に直接会って話を聞き、質問をすることができます。株主総会は、投資家にとって議案の決議だけでなく、企業をより詳しく知り、投資を判断する情報を得る場所でもあります。

新型コロナウイルスの感染拡大前の株主総会の多くは、どこかの会場で開かれ出席を希望する株主は誰でも参加できる形が大半でした。大企業の株主総会ともなれば株主数が多いこともあり、都内の大きなホテルの宴会場などが会場となることもありました。株主総会に参加した後に懇親会があったり、出席した株主にちょっとしたお土産が配られることもありました。

ただ、新型コロナの感染拡大により株主総会の開催の仕方も大きく変わり、株主総会をオンライン中継する「バーチャル株主総会」を実施する企業が増えました。会場に多くの株主が直接足を運ぶと会場が「密」になる恐れもあり、抽選制で入場を制限したり、株主にインターネットによる議決権行使を促して来場の自粛をお願いするケースもありました。「バーチャル株主総会」には、会場での総会を見るだけの「参加型」とオンラインで質問や議決権行使が可能な「出席型」の2種類があります。

オンライン中継の株主総会の場合、会場の雰囲気を直接肌で感じることが難しいのがデメリットです。一方で、多くの株主総会は平日の日中に開催されることが多いため、仕事をしている個人投資家にとってオンラインであれば参加しやすいというメリットもあります。

新型コロナ禍が収束に向かい「ウィズコロナ」、「アフターコロナ」時代を迎えるなか、株主総会がどの様な形で開催されていくのかはまだ未知数です。しかしどの様な形での開催となっても、投資家にとって株主総会は経営の重要事項を決議し、企業とコミュニケーションを取る重要な場であることに変わりありません。

■株主総会の種類

ここでは株主総会の種類について説明します。株主総会には2つの種類があります。

定時株主総会

定時株主総会とは、事業年度の終了後、一定の時期に必ず1回は行わなければならない株主総会です。一定の時期とは事業年度の終了から3カ月以内とされており、毎年1回必ず開かれます。

日本で多い3月期決算の企業は、3カ月後の6月末までに株主総会を開催する必要があるため、日本では6月に株主総会が多く開催されます。

臨時株主総会

臨時株主総会とは、定時株主総会とは別に、会社が必要と判断した時に行う株主総会です。必要に応じて臨時に招集される株主総会なので「臨時株主総会」と呼びます。

臨時株主総会の開催の目的は、例えば定款変更や取締役の選任、新株発行など様々です。定時株主総会とは招集の時期や議案の内容が異なるのみで、招集の手続きや決議方法などは同じです。

■株主が持っている2つの権利

ここからは株主が持っている2つの権利について紹介します。一つは「自益権」。もう一つは「共益権」です。それぞれ細かく見ていきましょう。

株主個人の利益に影響する「自益権」

自益権とは、株主が行使することで株主個人の利益のみに影響する権利のことです。具体的に一つずつ確認しましょう。

・利益配当請求権

配当金を受け取れる権利です。株主総会の決議で配当を出すことが決まったら、株主は会社の利益の分配である配当を受け取ることができます。

・残余財産分配請求権

企業が解散する時に株式の持ち分割合に応じて残余財産の分配を請求できる権利です。万が一企業が解散することになり、清算手続きで負債の返済が完了した後にまだ財産が残っていた場合、株主は持ち分割合に応じて残余財産の分配を請求することができます。

・新株引受権

会社が発行する新株を優先して引き受ける権利です。既存の株主に株主数に応じて新株引受権を与え、新株を割り当てることを株主割当といいます。株主以外の第三者に対して新株引受権を与え新株を割り当てることを第三者割当増資と呼びます。

似た言葉で、新株予約権があります。これは、2002年の商法改正後に作られた制度で、会社から一定の条件で新株または自己株式の交付を受ける権利のことです。この権利は、新株発行とは関係なく与えられるものであり、新株引受権とは違うものです。

・株式買取請求権

株主が保有する株式を公正な価格で買い取る様に企業に請求できる権利です。単元未満株式を発行会社に買取請求する「単元未満株式の買取請求」と、株主総会で企業の再編などの議案に反対した株主が保有する株式を企業に買取請求する「反対株主の株式買取請求」の2種類があります。

株主全体の利益に影響する「共益権」

共益権とは、株主が行使することで株主全体の利益に影響する権利のことです。具体的に一つずつ見てみましょう。

・単独株主権

一単元株でも保有していれば株主総会での議決権が認められる権利です。

・少数株主権

一定割合以上の株式数を保有しなければ行使できない権利です。株主総会招集権や解散請求権、会計帳簿閲覧請求権などがあります。

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■株主総会で決議されること

株主総会は、株式会社の最高意思決定機関です。会社経営をする上で、株主総会で株主の決議を得なければならないことは多岐に渡ります。大きく分けると3つに分けられます。会社の経営に大きく関わる事項、役員の人事に関する事項、株主の利害に関わる事項の3つです。一つずつ見ていきましょう。

会社の経営に大きく関わる事項

会社の経営に大きく関わる大切な事項を決議することは、株主総会の大事な役割です。例えば、以下のような、企業経営の根幹に関する事項は必ず株主総会での決議が必要です。

定款の変更、事業譲渡、組織変更、会社の解散、組織再編(合併、会社分割、株式移転、株式交換など)

役員の人事に関わる事項

会社の経営や監査を担う取締役の人事も株主総会で決議する事項です。

役員の選任や解任、いずれも株主総会決議事項です。また、定款に役員報酬などを定めていない場合は、株主総会で決議する必要があります。

株主の利害に関わる事項

株主の利害関係に関する事項も株主総会で決議します。例えば、以下のような例が挙げられます。

資本金の増減、剰余金の配当額、株式の併合、譲渡制限株式の譲渡承認

■株主総会での決議方法

株主総会では、決議する内容の性質や重要度によって決議に必要な株主数が異なります。「普通決議」、「特別決議」、「特殊決議」の3種類があります。

普通決議

行使可能議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の過半数をもって行う決議です。役員の選任・解任をはじめとして、株主総会における原則的な決議の方法です。

特別決議

行使可能議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の3分の2以上に当たる多数をもって行う決議です。ただし、特別決議の定足数(決議に当たって必要とされる出席株主数)の要件は、定款によって3分の1まで緩和することが認められています。

特別決議は、定款変更、事業譲渡や組織再編など、会社や株主にとって重要な事項を決定する場合に必要になります。

特殊決議

普通決議および特別決議以外の株主総会決議の方法です。重要性がきわめて高い事項について、特別決議を上回る決議要件を課すものです。

決議要件の違いで、2つのパターンがあります。

①定款変更や吸収合併などにより、株主が譲渡制限株式を保有することになる場合

議決権を行使できる株主の半数であり、当該株主の議決権の3分の2以上の多数で決議されます。

②株主ごとに異なる取扱いを行う内容を定款に定めたり、その内容を変更する場合

総株主の半数であって、総株主議決権の4分の3以上の多数で決議されます。

■株主総会当日の流れ

ここでは実際の株主総会がどの様な流れで行われるのか見ていきましょう。

株主の出席確認

株主総会に出席でき議決権を行使できる株主は、その年の株主名簿に登録されている株主のみになります。受付では、来場者の出席資格があるかどうか、氏名、議決権数を確認し集計します。

議長の就任、開会宣言

株主総会の議長が就任し、開会宣言が行われます。一般的に議長は、代表取締役や社長が就任することが多いです。

監査報告

監査報告が読み上げられます。

事業内容報告

ここからが株主総会の中心的内容になります。経営陣から対象事業年度の事業内容の報告が行われます。株主に対して事業の現状をパワーポイントの資料やスライドなどを使いながら分かりやすく報告します。経営陣の経営に対する考えや姿勢などを見ることができます。

議案上程

株主総会でかける議案を提出して会議にかけることです。一般的には、会社側から議案上程を行うことが多いです。一定の要件を満たせば株主側から議案を上程することができます。投資ファンドなどが会社に対して議案を上程するケースが見られます。

審議方法の確定と審議

議案上程の審議と質疑応答が終わると、議案決議のために審議方法の確定と審議が行われます。株主総会で使われる一般的な審議方法は、一括審議方式です。これは、上程された議案を一括で上程した後に、全議案に関する質問や動議などをし、裁決を順次する審議方式です。

質疑応答

株主から経営陣に質問ができる場です。議案の内容だけでなく、会社経営そのものについて株主から質問することができ、それについて経営陣が回答します。その時の社長や担当役員の回答内容や対応の仕方など紙面とは違う直接的なやりとりをすることができます。また、自分が質問することができなくても、他の株主の質問を通じて会社の雰囲気を掴むことができます。

採決

決議事項について採決をし、株主総会としての意思決定をします。

議事録の作成と保存

株主総会の議事については、議事録を作成することが必要です。作成された議事録は、一定の期間保管しておく必要があります。

閉会宣言

閉会宣言をし株主総会が終了します。                                                                           

■まとめ

株主総会は、株式会社の最高意思決定機関です。株主にとって株主総会は経営の重要事項を決議したり、企業とコミュニケーションを取る重要な場です。コロナ禍ではバーチャル株主総会も普及しました。機会があれば一度出席してみて下さい。投資先企業のことをより深く知ることができるでしょう。

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


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