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ベンチマークとは? 投資信託における使い方や見るべきポイント、代表的な例を紹介!

記事公開日 2023/6/23 18:00 最終更新日 2023/6/23 18:00 経済・ビジネス コラム・インタビュー ベンチマーク 市場用語再点検 金融コラム

市場用語再点検!ベンチマーク

【QUICK Money World 荒木 朋】投資信託などの金融商品の運用パフォーマンスが良いか悪いかを判断するにはどうすればいいでしょうか? この場合、判断基準として重要になるのは絶対評価ではなく相対評価になります。その判断基準として用いられるのが「ベンチマーク」です。本記事ではベンチマークの概要や使い方を整理するとともに、国内外の主なベンチマークの種類、投資におけるベンチマークの重要性などについて詳しく解説していきます。

■ベンチマークとは何? 概要や基本事項について解説!

投資におけるベンチマークとは、投資信託(ファンド)などが運用時にパフォーマンスの目標としている基準のことをいいます。その際、ファンドが投資対象とする商品や市場における各種指数(インデックス)が用いられます。例えば、日本株を対象とする指数では日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)、米国株を対象とする指数ではダウ工業株30種平均やS&P500種株価指数などが有名です。一般的なファンドでは、こうした各種指数との相対比較において高パフォーマンスを目指しているのです。

ファンドの運用成績とベンチマークのパフォーマンスを比較すれば、そのファンドの運用成績の優劣が判断できます。運用成績がベンチマークを上回っていれば、そのファンドは高パフォーマンスなファンドであると判断できます。反対にファンドの運用成績がベンチマークを下回っていれば、パフォーマンスの悪いファンドであると判断できるというわけです。

それぞれのファンドが設定しているベンチマークが何なのかは、目論見書や運用報告書をみれば確認することができます。ただし、ファンドによってはベンチマークを設定していない商品もあります。あらゆる商品を投資対象として絶対収益を目指すヘッジファンドなどがベンチマークを設定していない商品の一例です。この場合、類似のファンドと比べてパフォーマンスの良し悪しを判断する必要も出てきます。

■国内の代表的なベンチマークを紹介! 日経平均やTOPIXなど

代表的な国内外のベンチマークを紹介していきます。まずは国内編です。

投資信託(ファンド)で使われる代表的な国内のベンチマークとしては、国内株式では「日経平均株価」、「東証株価指数(TOPIX)」、「JPX日経インデックス400」などがあり、国内債券では「NOMURA-BPI(野村ボンド・パフォーマンス・インデックス)」が挙げられます。

日経平均株価は、東証プライム市場に上場する銘柄のうち、日本経済新聞社が市場流動性の高い225銘柄を選定し、その株価を基に算出する日本の株式市場を代表する株価指数です。

日経平均の数値は225銘柄の株価の単純平均ではなく、株価水準の高低による影響をなくすために株価換算係数で調整した構成銘柄の株価の合計金額を、市況変動によらない株式分割などの価格変動を調整した「除数」で割って算出します。

東証株価指数(TOPIX)は、原則として東証プライム市場全体の上場銘柄を対象とした株価指数です。各銘柄の平均株価ではなく、各銘柄の時価総額をベースとしているのが日経平均との違いです。日経平均と並ぶポピュラーな株価指数で、TOPIXをベンチマークとしている投資信託は少なくありません。2022年4月に行われた東証の市場区分の再編に伴い、指数の見直しが段階的に進められています。

JPX日経インデックス400は、東証の各市場(プライム・スタンダード・グロース)に上場する企業のうち、JPX総研と日本経済新聞社が選定した400銘柄で構成される株価指数です。銘柄選定においては、市場流動性などに加えて、自己資本利益率(ROE)や社外取締役の選任などのガバナンスも考慮して採用されるのが特徴で、2014年1月に算出が開始された比較的新しい株価指数です。

 

NOMURA-BPIは、日本の債券市場全体の動向を示す指数のことで、野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティングが公表しています。NOMURA-BPIでは組み入れ対象となる銘柄を国債や地方債など8つのセクターに分類しています。代表指数はNOMURA-BPI総合で、1983年12月末を100として指数化されています。同指数は債券投資の際の主要なベンチマークとされており、多くの投資信託がベンチマークとして採用しています。NOMURA-BPIは総合指数のほかにも、セクター別やサブ・インデックスなど複数の種類があります。

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■海外の代表的なベンチマークを紹介! MSCIコクサイなど

海外の代表的なベンチマークは、株式では「MSCIコクサイ・インデックス」や「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」など、債券では「FTSE世界国債インデックス」や「JPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス」などがあります。他にも多くのベンチマークが存在していますが、上記に挙げた指数は多くの投資信託のベンチマークとして用いられています。

MSCIコクサイ・インデックスは、日本を除く先進国22カ国に上場する株式を対象とした指数です。時価総額加重平均型の指数で、米国のMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)社が算出・公表しています。MSCIコクサイ・インデックスは日本の投資家から見て代表的な先進国株式の指数といえ、実際、日本で販売されている外国株式に投資する投資信託や上場投資信託(ETF)などのベンチマークとして多く利用されています。

MSCIエマージング・マーケット・インデックスは、新興国の株式を対象とした指数です。MSCIコクサイ・インデックスと同じく時価総額加重平均型の指数で、構成国・構成銘柄は定期的に見直されています。主な構成国はインドや中国、ブラジルなどで、基本的に二十数カ国の銘柄で構成されています。

FTSE世界国債インデックスは、日本を除く世界の主要国の国債の動向を示す債券指数です。一定の基準を満たした国債を対象に時価総額で加重平均し、指数化しています。FTSE Fixed Income LLCが算出・公表している指数で、構成国や銘柄は定期的に見直されています。円換算ベースでも算出されるのが特徴の1つで、多くの投資信託などでベンチマークとして採用されています。

JPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラスは、主に新興国が発行する国債を対象にした指数です。新興国が流動性の高い米ドル建てで発行した債券を対象とし、新興国国債の動向を示す代表的な指数の1つです。

2023年3月末時点の国内公募の追加型株式投資信託(上場投資信託=ETFを除く)で、純資産総額(残高)が最も大きい投資信託が「eMAXIS Slim米国株式(S&P500、為替リスクあり)」です。3月末時点の純資産総額は1兆8757億円で、同ファンドのベンチマークはS&P500種株価指数(配当込み、円換算ベース)となっています。

eMAXIS Slim米国株式(S&P500、為替リスクあり)と米S&P500種株価指数の推移

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■ベンチマークの重要性とは? 運用成績を客観的に評価

ベンチマークの役割とは何でしょうか。

通常の投資信託(ファンド)は収益目標について相対収益を追求しています。その際、運用成績との比較対象とするのが日経平均株価などのベンチマークです。あるファンドが1年間で20%の利益を上げたとします。「1年で20%の利益=優れたファンド」と考えがちですが、仮にベンチマークである日経平均株価の1年間の上昇率が25%だった場合、そのファンドは20%の利益しか上げられなかったファンドと判断されます。

反対にファンドが5%の損失を出していても、ベンチマークがそれ以上の下落率となっていれば、そのファンドは「ベンチマークを上回った」として評価されるというわけです。このようにベンチマークは各ファンドの運用成績を客観的に評価するのに役立ちます。ベンチマークのあるファンドに関しては、運用成績が「優れている」ファンドがどうかを簡単に選別できるということでもあります。

ファンドには日経平均株価やTOPIXなどの株価指数への連動を目指して設計されたインデックスファンドと、ファンドマネジャーと呼ばれる運用のプロが銘柄の選別や投資判断を行い、ベンチマークを上回る利益の獲得を目指すアクティブファンドがあります。アクティブファンドの場合、ベンチマークに対する相対利益はファンドマネジャーの運用スキルを示す評価基準になります。

自分自身が投資するファンドの種類(インデックス型かアクティブ型か)にもよりますが、ベンチマークとなる各指数はいかなるファンドの運用成績にも影響するため、自身が保有するファンドの動向はもちろん、ベンチマークの動きをしっかりとチェックしておくようにすることが大切です。

 

■投資信託を選ぶ際のポイントを解説!

ここまでベンチマークの概要や国内外の代表的なベンチマークを紹介してきましたが、それを踏まえた上で投資信託(ファンド)を選ぶ際に重要なポイントを押さえておきましょう。

まず、ファンドを選ぶ際は、そのファンドが対象にしているベンチマークの種類をチェックしておくことが大切です。例えば、先進国株式に投資したいと思っている場合、MSCIコクサイ・インデックスをベンチマークとしているファンドを選ぶのがいいでしょう。株式や債券などに分散投資するバランス型のファンドの場合も、それぞれの分野でどのベンチマークを採用しているかを確認することは重要です。

ファンドを選ぶ際、誰しも運用成績を確認すると思いますが、ここで重要になるのがファンドの運用成績とそのファンドが対象としているベンチマークとの相対比較です。ファンドの運用成績がベンチマークを上回っているか、下回っているかが評価基準となるからです。投資を考えているファンドの運用成績が対象のベンチマークを上回るか、ほぼ同等であれば、安定したリターンが期待できると判断できます。反対にベンチマークを下回っているファンドは相対的にリターンが低いことを示しており、優れたファンドとは判断できないため、選択肢として避けた方が無難なファンドといえるのです。

ファンドを選ぶ際、どのような運用計画を立てて資産形成を行っていくかを考慮することもファンド選びの際には大きなポイントになります。投資目的や期間など自らのライフイベントを照らし合わせて考えることで、その目的にあったファンドを選ぶことができるからです。

■まとめ

ベンチマークとは、投資信託(ファンド)などが運用時にパフォーマンスの目標としている基準のことをいいます。ファンドの運用成績とベンチマークを相対評価することで、ファンドの良し悪しを判断することができます。ベンチマークの役割等を整理したうえで、自身に合ったファンド選びにぜひ役立てて下さい。

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著者名

QUICK Money World 荒木 朋

1998年にQUICKに入社。2003年から11年間、日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)で記者職に就く。0609年にNQNニューヨーク支局に駐在。1820年はQUICKロンドン支店に赴任。08年のリーマンショック、20年のBrexitはいずれも現地で取材した。QUICK退社後、ボクシングトレーナーとして働く傍ら、21年から「QUICK Money World」に寄稿。


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