日本企業の景況感の改善度合いが低下している。QUICKが18日に発表した7月の「QUICK短期経済観測調査」(QUICK短観、第200回)で、製造業の業況判断指数(DI)は前月調査から5ポイント低いプラス2だった。2021年2月調査以来、2年5カ月ぶりの低水準となった。全産業のDIも2ポイント下がり、プラス23だった。
価格が「上昇している」と答えた企業が多いほど高くなる「販売価格判断DI」と「仕入価格判断DI」は、全産業(除く金融)でともに2カ月連続で低下した。仕入価格は前月比3ポイント低下のプラス55となり、2021年12月調査以来の低水準となった。エネルギー価格の落ち着きや円安の一服などで企業の仕入れコストの負担感も徐々にではあるが緩んでいる。
QUICKでは毎月、全国の証券取引所に上場する企業を対象に業況や事業環境に関するアンケートを実施し、結果をQUICK短観としてまとめている。7月調査は7月3日から12日まで実施し、246社が回答した。
労働市場改革、退職所得課税の見直し「反対」優勢
定例調査とは別の「特別調査」では、企業内での男女平等や女性活躍推進に向けた取り組みについて、複数回答可で聞いた。政府が東証プライム企業の女性役員比率を2030年までに30%以上にするとの目標を掲げるなか、「女性管理職・女性役員の数や比率の目標を設定」と回答した企業は44%となった。
「男性の子育て参加促進など、家事・育児負担の偏りの見直しを後押しする取り組み」(56%)が最多だった。「女性の活躍を促す既存の制度を使いやすくする職場風土づくり」が47%で続いた。
また、政府が掲げる「骨太の方針」のひとつである「三位一体の労働市場改革」について、5項目に分類し賛否を聞いた。「退職所得課税(長期勤続ほど有利な税制を見直し)」は、「賛成」が20%、「反対」が38%だった。5項目で唯一「反対」が多数となった。「雇用調整助成金(教育訓練への助成を手厚く)」は「賛成」が65%と多く、「反対」は7%にとどまった。
(QUICK Money World 中田真裕)