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資産運用するなら複利効果を活用しよう!(資産形成イロハのイ)

記事公開日 2023/10/12 18:00 最終更新日 2023/10/12 18:00 経済・ビジネス コラム・インタビュー 資産形成イロハのイ 金融コラム

資産形成イロハのイ  複利効果

【QUICK Money World 片岡 奈美】金利、利回りという言葉はよく耳にしますし、ぱっと想像もしやすいでしょう。銀行など金融機関の店頭で「特別金利キャンペーン」なんて文言もよく目にします。住宅の購入資金などでお金を借りる時には金利は低い方がありがたいし、逆に銀行にお金を預けるなら高い方がいいですよね。資産運用でも同じようなイメージでしょうか。

ではもう少し踏み込んで、「長く運用するほどお得」とよく言われるのはなぜでしょうか。当たり前のように皆が語るのですが、それはこの金利が「じわじわ」と響いてくるからなのです。今回は、資産運用をしていくうえで、欠かせない「複利」という考え方についてご紹介していきたいと思います。

◎複利とは?単利との違いは?

例えばあなたが今、自由に資産運用に活用できるお金が100万円あるとします。このお金を金利3%(年利)で1年間預金できたとすると、1年後には103万円になります。この増えた3万円は、もともと持っていたお金である「元金」についた利子ですね。

ここで3万円増えた分をほくほくと使ってしまってもよいのですが、もう少し時間をかける余裕があるのならば、もう一年、そのまま寝かせてみましょう。このまま金利3%でさらに1年間預けると、もともとの100万円は2年後には106万900円になります。

同じ「金利3%の世界」において、100万円を1年ずつ、2回預けると106万円にしかなりません。ですが、100万円を2年間預けっぱなしにすると、1年目についた利子の3万円にもまた利子が付き、1年ごとに預けた場合に比べ、900円多く利子を受け取ることができます。この「利子にも利子がつく」ことを「複利」といいます。

複利による運用とよく対で使われる単語に「単利」による運用があります。上記の例でいえば、1年ずつ2回預けた場合、資産運用で得た利益をもともとの元金に足すことなく毎回受け取る運用のことです。

「複利」での運用は運用益を再投資することで利子にも利子をつける方法、「単利」での運用は運用益は都度受け取る方法、と整理しておきましょう。

 

◎複利と単利はどちらがお得?

複利運用による効果を「複利効果」などといいますが、それがどのくらいのものなのか、具体的に数字を使ってみてみましょう。ここでは、元金が100万円、金利3%で運用をしていくと仮定します。単利の場合は毎年3万円ずつ利息を受け取り、複利の場合は毎年の利息を元金に足して再投資して運用していきます。

5年間それぞれの方法で運用していくと、単利の場合は元金100万円と5年間分の利息15万円の、合わせて115万円の資産を手にすることができます。複利の場合は元金に毎年の利息を足しこんでいきますので、5年後の元金は112万円を超え、その年の利息と合わせて115万9000円強が手元に入る資産となります。5年間の運用では、複利で運用した方が、9000円強多く受け取ることができます。

5年間では数千円の差ですが、同じように10年間続けていくとその差は4万円超、20年間続ければ20万円超まで差が広がっていきます。

※単利運用と複利運用の違い

このように、運用益の差は期間が長くなればなるほど大きくなります。もしご興味があれば、お手元の運用資金と予定運用利率などで計算してみてください。複利での運用は長く運用するほど利益が利益を生みやすくなり、よりお得だと実感していただけると思います。逆に、ごく短期間の運用であれば、単利運用と複利運用の差はそう大きくはないことも、読み取っていただけるかと思います。

◎複利運用のメリット

複利運用のメリットは、上記の通り、運用益を再投資に回すことで、資金の運用効率をあげることができるところでしょう。元本を増やせば同じ金利でも単利運用に比べ、資産が増えるスピードもあがります。ついつい目先の利益に目が向きがちですが、資産運用は余裕資金での運用が基本かと思います。すぐに必要になる資金でなければ、時間も味方につけることができる複利運用を選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。

 

◎細くても長く続ければ効果が期待できる、複利による長期運用

2019年に話題になった「老後2000万円問題」をはじめ、個人投資家の間でも資産運用への関心が高まっています。昨今、一定額を定期的に買い長期の資産形成に備える「積み立て投資」が広がっているとの話を耳にされた方も多いでしょう。では、例えば話題になった“2000万円”もの金額を貯めるにはどのくらいの期間、どのくらいの資金を積み上げていけばよいのか、少し見てみましょう。

単純に2000万円を「貯める」だけであれば、目標とする時期までの時間を均等に割って計算してもよいわけです。例えば、20年後に2000万円が必要であれば、毎年100万円ずつ貯金できればよいわけですし、40年後でよいならば、その半分の年50万円ずつを貯金すればよいですね。読んでくださっている皆さまにはそう難しい額でもないかもしれません。けれど、先は長い。その一定額を必ず貯め続けられるだけの経済的な余力と気力があるかどうか…額も期間も、もう少し減らせるものなら減らしたい…と思ってしまうところもあるかもしれません。

そんな時に、負担感を和らげてくれるのが「運用」とも言えます。これはあくまで「仮定」の話ですが、ひとまず計算してみましょう。

例えば、年に3%の運用益をあげながら複利運用をしていくと想定します。

毎年100万円ずつ貯金していくと2000万円に到達するのは20年後。けれど3%の運用益をあげつつ複利で運用していくと、16年後には元金と利息で資産は2000万円を超え、単純に貯金をしているよりも4年ほど早く目標を達成できます。

もし、目標額に到達するのが20年後でよいのならば、年75万円ほどの積立で2000万円超の資産を手にすることができます。この場合、実際に積み立てる元本は1500万円ほどです。もしも40年間の運用期間を設定できるのなら、年26万円ほどの積立をしていけば目標をクリアできる算段です。

※利回り3%運用で積立シミュレーション

運用期間を倍にすると積立額が半分以下になるのは、期間が長ければ長いほど複利効果による資産の伸びが大きくなるからです。逆に期間が短いのならば複利効果による資産の伸びは小さくなってしまうため、必要となる元本は増えることになります。もし、運用をしつつ資産を増やしておきたいと考えられるようでしたら、細くても長く続けていった方がより効率的に複利効果を得られるといえるでしょう。

ここでは簡易的に毎年いくら積み立てたら…という話をしましたが、実際にかかるであろう手数料や税金は考慮していません。また、実際の運用には「毎月いくら積み立てる」か、「何年間積み立てる」かといった切り口の方が重要かもしれません。さまざまな金融機関などがシミュレーションツールを提供していますので、そういったものを活用しつつ、検討してみてください。

◎「72の法則」

資産運用やライフプランといったものに関わられたことのある方は耳にされたことがあるかもしれません。「72の法則」をご存じでしょうか。この法則を使うと、概算ではありますが、簡単に「金利の複利効果により資産が2倍になるまでの期間」を弾き出すことができます。計算式は「72÷金利(%)=投資期間(年数)」です。

例えば金利3%でお金を運用した場合、「72÷3(%)≒24(年)」となるので、約24年で2倍になることがわかります。金利が1%なら72年、5%なら14.4年でそれぞれ資産が倍になります。金利が0.001%であれば実に7万2000年が必要になります。

ただし、「72の法則」が使えるのは、複利運用の場合です。これが単利運用の場合はどうでしょうか。100万円を3%で運用すれば、毎年3万円の運用益が出ます。資産を2倍にするためには運用益だけで100万円を貯めるわけですから、約33年が必要です。同じく金利が1%なら100年、5%なら20年が必要になります。同じ金利でも、単利運用か複利運用かで資産を倍にする年数に大きな差が出てくるのがわかると思います。

※72の法則

72の法則は、少しひねれば、複利運用で資産を2倍にするのに必要な金利をはじき出すこともできます。例えば、10年で資産を倍にしようと思えば「72÷10(年)≒7.2(%)」。金利7.2%で複利運用する必要があるとわかります。なお、この法則で弾かれる期間や金利といった算出結果は、大まかな数字であって正確な数字ではありません。あくまでも「目安」として用いられるものですのでご留意ください。

◎資産運用を始めるのはいつがおすすめ?

いつでも、という言い方では身も蓋もありませんが、思い立った時が吉日なのかもしれません。とはいえ、無計画なのも考えもの。けれど、ここまでの話で「少しでも早く」「こつこつと」始めてみるのがよさそうだとは思っていただけたとは思います。資産運用を始める時期にも理由にも、絶対的な正解はありません。ここではあくまで一般論としてご紹介していきたいと思います。

まず、多くの方が「資産運用」あるいは「ライフプラン」について考え始めるのは、大きなライフステージの変化が起こる時期ではないでしょうか。「社会人になった」「昇進して少し余裕資金ができた」「結婚して家族が増えた」「老後を見据えて少し懐事情を見直したい」――。こういったことはきっかけとしてよく挙げられますが、投資家それぞれの事情があり、タイミングはさまざまです。いずれにしても大切なのは「何を目的に」「いつまでに」「どの程度の」資産を構築していきたいのかをしっかり見据えて、運用目的や目標を明確にすることでしょう。

一般的に、20代は老後までの期間が長いですし、コツコツと複利効果を得ながらの運用で資産を増やしやすいとされています。30代になると、結婚や出産、住宅購入など大きなライフイベントが生じる人も多く、相応の出費が膨らみやすい時期でもあります。一方で、収入が20代に比べれば増えていたり、大きな出費に合わせてライフプランを見直したりと、短期~中長期の運用目標を立てて投資に取り組み始める人も少なくないようです。

40代になるとサラリーマンであれば定年までの期間も折り返し地点といったところ、そろそろ老後が気になり始めるころです。相対的に老後までの時間が短くなってくることもあり、大きなリスクよりは着実に増やせるような、堅実な投資を意識する人が増えてくることでしょう。50代に差し掛かればなおさら、老後に向けた本格的な資産づくりが必要になってきます。

QUICK Money Worldでは、年代別にお勧めの資産運用方法についてもご紹介しています。(→「未来に備えよう!資産形成のおススメ方法を年代別にご紹介!」)この他にも、資産運用や資産形成に取り組みたいといった投資初心者の方から、すでに資産運用に取り組まれている方にも参考にしていただける記事を随時配信しています。マーケットの展望やアナリストの分析など、無料会員に登録すれば読める記事も多くあります。ご興味のある方はこちらもぜひご一読ください。⇒ 無料会員の登録はこちら

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◎複利運用のデメリット・注意点

最後に、複利運用における注意点について少し触れておきたいと思います。ここまでご紹介してきた「複利効果」はすべて前提があります。それは、「一定程度の金利(運用益)」が「変わらずに続く」ことです。

けれど、実際に資産運用を始めよう、投資をしている、といった皆さんはご周知のとおり、投資は基本的には元本保証がされません。銀行などへの預金で高い金利がついていた時代ならいざしらず、数%の運用益を上げようとすれば、今の環境では何らかの投資商品を選ぶことになると思います。投資による運用はリスクを負うということ、狙った(願った)通りの運用収益があげられるかどうかは不明確だからこその「リターン」であるということは意識しておきましょう。

また、複利運用では時間が重要になります。一定程度の運用期間、組み入れた元本や運用益などの資金は動かさないことが前提です。運用中に得られる利益は再び投資に組み入れることになるので、中長期の運用に充てられるような余裕資金で取り組まれることをお勧めします。

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◎まとめ

複利運用と単利運用の大きな違いは、運用益を再投資するかどうかにあります。運用益を再投資に回す複利運用ならば、利益が利益を生み、資産を効率的に増やしていくことができます。同じ考え方はお金を借りる時にも用いられます。借金を返せない場合、借金の利子にもまた利子が付きどんどんと“雪だるま”のように増える――なんて考えただけでも恐ろしいですが、これも複利によるものです。いずれにしても、複利は「時間」が長くなればなるほど、単利に比べれば利子を大きくすることができます。

長く運用することが基本となる複利運用ですが、もしかすると読者の皆さんの中には「そう長期間の運用は考えていない」という方もいらっしゃるかもしれません。そういった場合には株式投資なども資産運用の選択肢のひとつとなるかと思います。QUICK Money Worldでは、株式投資のほか、マーケット情報など金融情報を幅広くご紹介しています。専門記者によるマーケット記事などが一部閲覧いただける無料会員のほか、企業の開示情報をメールでお知らせする機能や企業分析ツールなどがご利用いただける有料会員もご用意しています。有料会員も登録後30日間は無料でお使いいただけますので、ご興味のある方は是非一度お試しください。

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著者名

QUICK Money World 片岡 奈美


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