QUICKが7日に発表した11月の「QUICK短期経済観測調査」(QUICK短観)で、製造業の業況判断指数(DI)はプラス8だった。前月調査から4ポイント悪化し、4カ月ぶりの低水準となった。全産業のDIはプラス22と4ポイント悪化。こちらは6カ月ぶりの低水準だった。いずれもプラス圏を維持しているが、改善の勢いはやや鈍っている。
自社の株価についての見方も毎月聞いている。株価が「安い」と回答した企業の割合から「高い」と回答した割合を引いて算出する「自社株判断DI」は全産業でプラス64と前月から5ポイント上昇し、2022年6月以来1年5カ月ぶりの高水準を付けた。当時から日経平均株価は15%程度上昇したものの、多くの企業が自社の株価をなお割安と捉えている。自社株買いなど株主還元策の発表にも期待がかかる。
QUICKでは毎月、全国の証券取引所に上場する企業を対象に業況や事業環境に関するアンケートを実施し、結果をQUICK短観としてまとめている。11月調査は10月23日から11月1日まで実施し、240社が回答した。
冬のボーナス「増額」は約3割
話題のトピックについて聞く特別調査では、トラック運転手の残業規制強化で懸念される物流の「2024年問題」を取り上げた。経営への影響と対応について聞いたところ、「経営や業績への影響が見込まれ、物流効率化などの対策を検討している」との答えが33%と最多だった。「経営や業績への影響は小さいが、対策を検討している」(13%)と合わせて、約半数の企業が具体的な対策を考え始めている。
政府が賃上げを後押しするなか、今年の冬の賞与(ボーナス)額の検討状況も聞いた。「大幅な増額」が3%、「やや増額」が26%となり、合わせて約3割が増額を検討している。「おおむね変更なし」が40%で最多だった。
(QUICK Money World 中田真裕)