年後半、日本株投資でも米国大統領選挙は最大の注目点だ。5日に発表された8月のQUICK月次調査<株式>はトランプ氏再選の影響を聞いている。トランプ氏が大統領に選ばれた場合のリスクでは「インフレの再過熱」、「輸入関税による貿易の停滞」、「財政悪化に伴う金利上昇や米国債格下げ」を挙げる市場関係者が多い。トランプ氏の主な政策は対中関税引上げ、移民規制、法人減税などであり、投資家はややネガティブに評価している。
市場への影響では、まず、米国長期金利の「上昇」を見込む回答が63%に達している。経済政策を踏まえれば、自然な回答であろう。一方、ドル円レートについては、「円高」という回答が52%と、「円安」という回答の21%を大幅に上回った。米国第一主義を掲げるトランプ氏はドル高を警戒する発言をしているが、長期金利が上昇すれば、ドル高・円安が進みやすい。少し矛盾する見通しである。
更に、米国株については「上昇」という回答が68%に達する。指摘されるリスクや長期金利上昇の想定を踏まえると、不自然な内容であろう。前回、トランプ氏が大統領に選出された2016年には直前までの市場コンセンサスに反して、株価が大きく上昇した経験があるからだろう。ただし、当時と比べると、現在、物価・金利動向、財政赤字に違いがある。単純に「トランプ大統領=株価上昇」を見込む市場関係者が多いことには驚きがある。
株式市場への影響を考える際、鍵を握るのは大統領の人間性ではなく、経済政策である。株価は経済政策と景気・企業業績への影響で決まる。今回、トランプ氏が大統領になっても、市場にサプライズとなる経済政策は少ないとみる。対中関税については、2018年の導入時に強く批判されたが、バイデン政権も継続しており、先日、対象品目の拡大が発表された。移民に対してはバイデン政権も規制強化に舵を切った。上下院選挙の結果にもよるが、法人減税は2017年12月の最高税率を35%から21%に引き下げた規模には及ばないだろう。
経済がグローバル化し、近年、大統領選挙に関する米国株のアノマリーは明確でなくなっている。選挙を意識した経済政策が米国景気を変動させる余地が少なくなったとみる。大統領選挙には注意を要するが、株式投資では基本的に市場コンセンサス逆張りで良いとみる。米国株に弱気論が広がれば、押し目買いが良いだろうし、強気論が多数派になれば、組入れ引き下げを検討したい。
話題が変わるが、今月のQUICK月次調査<株式>で「国内株式の現在のウエート」が65.4に上昇した(図表)。景気・業績、為替動向など株価変動要因の評価は改善していないが、国内株式のウエートは2006年2月以来の水準となった。一段の円安進展や国債利回り低下が見込みにくいため、消去法的に国内株式に投資したのだろうか。実際に組入れが高まっているならば、日本株は上値の重い展開がしばらく続くかも知れない。
【ペンネーム:パフェ】
調査は7月30日~8月1日にかけて実施し、株式市場関係者126人が回答した。
QUICK月次調査は、株式・債券・外国為替の各市場参加者を対象としたアンケート調査です。1994年の株式調査の開始以来、約30年にわたって毎月調査を実施しています。ご関心のある方はこちらからお問い合わせください。>>QUICKコーポレートサイトへ