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ボラティリティーとは?株式投資での活用方法を解説

記事公開日 2024/8/22 17:45 最終更新日 2024/8/22 17:47 経済・ビジネス コラム・インタビュー 市場用語再点検 金融コラム

【QUICK Money World 辰巳 華世】投資の世界でボラティリティーを意識することは大切です。今回は、そんなボラティリティーについて、ボラティリティーとは何かという基本的説明から、ボラティリティーの種類、株式投資での具体的な活用方法や注意点などを紹介します。

ボラティリティーとは?

ボラティリティーとは、価格変動の度合いを示しています。ボラティリティーの単位は%です。株価や為替の値動きで「ボラティリティーが大きい」と言えば、その商品の価格変動が大きいことを意味しています。逆に「ボラティリティーが小さい」は値動きが小さいことを示しています。時にボラティリティーは「ボラ」と省略され、「ボラが大きい」や「ボラ高」なんて言い方をすることもあります。

ボラティリティーの計算方法

ボラティリティーの計算式は

当日のボラティリティー(%) 当日のTR ÷ 当日のTP × 100

TRとはトゥルーレイジの略で、「当日の高値 – 当日の安値」「当日の高値 – 前日の終値」「前日の終値 – 当日の安値」の中で最も値の高いものです。TPとはティピカル・プライスの略で、高値・安値・終値の平均値です。

自分でチャートで表示されるデータなどを見ながら簡単に計算することができます。例えばTRが300円でTPが2500円だった場合、

300 ÷ 2500円 × 100 = 12%

となり、この銘柄のボラティリティーは12%になります。一般的に5%以上であればボラティリティーが高いと言われているので、この銘柄のボラティリティーは高いと言えます。

ボラティリティーが変動しやすい時間

ボラティリティーは、株価や為替の値動きの幅です。特に為替の場合、土日や年末年始などを除き、平日は24時間取引が可能であり、時間帯によってボラティリティーが変動しやすいです。また、為替の通貨ペアによってもボラティリティーは異なります。

ここで簡単に東京時間から見た24時間の市場の移り変わりを確認しておきましょう。基本的には、現地の株式市場が開いている時間です。

為替の世界では、東京時間よりもロンドン時間やニューヨーク時間の方がボラティリティーが高いです。最もボラティリティが高い時間帯は、ロンドン時間とニューヨーク時間が重なる22時~翌1時前後です。

為替取引は短期トレードで利益を狙っていく傾向が強いのでボラティリティーの大きさが大切になってきます。為替取引では時間帯によってボラティリティーは変わるので注意しましょう。

 

ボラティリティーの種類

ボラティリティーは2種類あります。一つは過去のボラティリティーを表すヒストリカル・ボラティリティー、もう一つは未来のボラティリティーを表すインプライド・ボラティリティーです。

ヒストリカル・ボラティリティー

ヒストリカル・ボラティリティー(HV)は、名前のヒストリカルが表す様に過去の価格変動率をもとに計算されたテクニカル指標です。相場の状況判断などに活用します。株式投資の中で使われるボラティリティーは、ヒストリカル・ボラティリティーであることが多いです。

価格の上下に関係なく、一定の割合で変動していればヒストリカル・ボラティイリティは小さくなり、逆に変動が激しいと大きくなります。つまり、ヒストリカル・ボラティリティが上昇した時は、価格が大きく上昇か大きく下落したときのどちらかになります。

チャートのサブチャートなどで表示することができますので、描画して見て下さい。小幅なレンジ相場などではヒストリカル・ボラティリティは低く価格がレンジを抜け上昇するとヒストリカル・ボラティリティーが上昇します。

インプライド・ボラティリティー

一方、未来の変動率を予測することをインプライド・ボラティリティー(IV)と呼びます。外国為替証拠金取引(FX)のトレンド予想やオプション取引の際に活用されることが多いです。予想変動率とも呼ばれています。FXのオプション取引などの画面で表示されていたりします。

市場のオプション価格などをもとに算出された原資産のボラティリティーで将来の変動率を予測したものになります。インプライド・ボラティリティーは、ブラックショールズモデルを用いて求められています。

インプライド・ボラティリティーを利用したものに日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)があります。いわゆる「恐怖指数」と呼ばれている指数です。日経平均VIは、オプションの取引動向から算出され、日経平均と逆相関の関係にあります。

通常は20~30程度のレンジ内で上下していて、日経平均株価が下落する局面で日経平均VIが上昇します。30が一つの目安とされており、30を上回る状況が続くと相場急落を意識している投資家が多いと言われています。一方、日経VIが低下していれば、多くの投資家が底堅さを意識し始めていると言えます。相場の先行きを知るために日経平均VIを確認するのは一つの方法です。

参考:米国株を対象とした「恐怖指数」についてはコチラ⇒「恐怖指数」VIX指数とは 特徴やETF投資のメリット・デメリット、目安や長期チャートを紹介

<前半のまとめ>

ボラティリティーとは、株価や為替などの価格変動の度合いを示しています。為替取引では、ボラティリティーが変動しやすい時間帯があります。ボラティリティーは2種類あって、株式投資で使われているのは主にヒストリカル・ボラティリティーです。
 ここからは、ボラティリティーを株式投資で活用する方法と、ボラティリティーを参考に株の値動きを見る際の注意点を解説します。

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ボラティリティーの活用方法とは?

株式投資で参考になるボラティリティの活用方法を紹介します。

短期取引の際に参考にする

ボラティリティーが高いということは値動きが激しいということを意味しています。デイトレードや数秒の売買を1日に何回も繰り返す超短期売買であるスキャルピングなどの短期売買で利益を狙う場合には、ボラティリティーを意識することが必要になります。

短期トレードの場合、値動きが大きくないと利益を確保するのが難しいのでボラティリティーの高い銘柄を選ぶことが大切です。

中長期トレードの際も参考になる

株式投資においてボラティリティーは、短期トレードだけでなく中長期の取引での銘柄選びでも参考になります。ボラティリティーが高い銘柄ということは、それだけ値動きが大きいことを意味します。株価が上昇する幅も大きいですが、一方で、下落する幅も大きいということであり、ある意味、ハイリスクハイリターンの銘柄と言えます。

中長期の運用の中で、自分がどれくらいのリスク・リターンを狙うのかを決め銘柄や商品を選ぶ時にボラティリティを活用することができます。ある程度リターンを狙うのなら、ボラティリティーの大きい銘柄を選び、反対にリスクを抑えた運用をしたい場合は、ボラティリティーの小さい銘柄を選別すると良いでしょう。

投資配分を決める際に参考にする

先ほど説明した様にボラティリティーの高い商品は、ハイリスク・ハイリターンであることが多いです。ボラティリティーは、一つ一つの銘柄選びの際にも活用できますが、自分の資産全体の投資配分を考える際にも参考になります。リターンを狙った運用にする場合は、全体的にボラティリティーの高いポートフォリオ、逆にリスクを抑えたい時はボラティリティーの低いポートフォリオにします。

この様に、株式投資においてボラティリティーは、短期投資でも中長期投資でも意識したい情報の一つです。

 

ボラティリティーを活用して投資する際に注意すべき点

株式投資でボラティリティーを活用して投資する際には、気をつけたい点を紹介します。

銘柄によってボラティリティーは異なる

銘柄によってボラティリティーは異なります。なので、同じ銘柄の過去のボラティリティーと比較してみて、ボラティリティーが高いか、低いかを判断してみると良いでしょう。チャートのサブチャートにヒストリカル・ボラティリティーを描画することができるので、株価の動きとヒストリカル・ボラティリティーを比べてみると良いでしょう。

ボラティリティーは株価の方向性は示していない

ボラティリティーは、価格変動の度合いを示しており、株価の方向性を示しているわけではありません。ボラティリティーを見ただけで、この先の株価が上昇するか下がるかを判断することはできません。相場の状況を把握することに使います。

流動性に気をつける

ボラティリティーが高いということは、流動性が低い傾向があります。流動性とは、株を買いたい時に買え、売りたい時に売れるかどうかの売買のしやすさです。例えば短期売買で、ボラティリティーが高い銘柄を見つけても買いたい時に買え、売りたい時に売れないと思う様に利益を狙えません。ボラティリティーが高い銘柄は、流動性も注目した方が良いでしょう。

まとめ

ボラティリティーは、価格変動の度合いを示しています。ボラティリティーの単位は%です。ボラティリティーは、価格の方向性を示しているわけではなく、相場の状況を把握する時に活用します。株式投資では、短期トレードでも中長期投資でもボラティリティーを意識して銘柄を選別することが大切です。

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


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