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ブラックアウト・ルールとは? 中央銀行を巡る動きや投資家にとっての注意点を解説!

記事公開日 2024/9/6 16:30 最終更新日 2024/9/6 16:30 経済・ビジネス コラム・インタビュー 市場用語再点検 金融コラム

市場用語再発見!ブラック・アウトルール

【QUICK Money World 辰巳 華世】ブラックアウト・ルールって知ってますか?24年3月に17年ぶりに日銀の金融政策の変更があり、マイナス金利の解除は大きな注目を集めました。日銀のマイナス金利政策の解除を決めた決定会合を巡る報道をきっかけに、市場の一部でブラックアウト・ルールが話題になりました。今回は、金融政策の変更に絡むブラックアウト・ルールについて、基本的な説明から、ブラックアウト期間に投資家が注意すべきこと、なぜ話題となったのかについて紹介します。

■ブラックアウト・ルールとは?

ブラックアウト・ルールとは、日銀など中央銀行の要人が金融絵施策を決定する前の一定期間、金融政策に関する対外発言を禁止するルールです。各国の中央銀行によって発言が禁止されている期間は異なります。

英語でブラックアウト(Blackout)は一般的に「大規模停電」または「全域停電」のことですが、当局者による対外的な発言の自粛や禁止という点では「通信途絶」の意味に近いかもしれません。

最もブラックアウト期間(発言禁止期間)が長いのが米国です。米国の中央銀行である米連邦準備制度理事会(FRB)のメンバーは、米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される前の前週の土曜日からFOMCが終了した翌日までの13日間です。

日本の場合、日銀は金融政策決定会合の2営業日前(会合が2営業日以上にわたる場合には会合開始日の2営業日前)から会合終了当日の葬祭記者会見終了時刻までの期間は、国会質疑において発言する場合を除き、金融政策及び金融経済情勢に関し、外部に対して発言しないルールになっています。

ブラックアウト・ルールの目的は、政策発表を効果的に行うためです。政策決定会合直前の発言は、市場参加者の期待が先行しすぎて、政策発表時の効果が小さくなってしまう可能性があります。

▼FOMCが定める2024年9月のブラックアウト期間

FOMCカレンダー

■ブラックアウト・ルール、投資家が注意すべきこととは?

ブラックアウト・ルールについて投資家が注意すべきことを確認しましょう。

金融政策の変更は市場に大きな影響を与えます。市場では、特に金利の方向性が意識されます。金融政策決定会合前から発表された経済指標などから、利上げ方向なのか、変更なしなのか、利下げ方向なのかある程度予測することは可能です。要人発言は、その予測を更に確かなものとするとして注目を集めます。

ブラックアウト期間中は各国の中央銀行の会合参加者は政策に関する発言が禁じられます。そのため、要人発言が相場を動かす可能性が低くなると言えます。

一方で、ブラックアウト期間入り直前は、関係者の発言がより注目を集めます。ブラックアウトになると発言が禁止されていることもあり、ぎりぎりの日程でコメントが発せられることが多くなる傾向があります。直前での発言ということで、ある程度、金融政策決定会合で発せられる内容について推測しやすい面もあります。なので、その時期の要人発言には特に意識を向けることが大切です。

ただし、実際にはブラックアウト期間中も金融政策の思惑から相場が動くケースがあります。要人発言がないからと言って安心できるわけではありません。発表された経済指標が金融政策の見方に影響を与えることがあります。また、金融政策に関する観測報道などをきっかけに相場が動くこともあり得ます。常に情報収集が大事なことには変わりません。

 

■ブラックアウト・ルールが話題になった理由とは?

日銀のマイナス金利政策の解除を決めた決定会合を巡る報道をきっかけに、市場関係者の間でブラックアウト・ルールが話題となりました。

日銀は2024年3月の金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除しました。日銀が金融政策を変更したのは17年ぶりでした。

政策の大転換のため日銀の金融政策の行方は注目を集めていました。経済指標の改善などが確認されていたこともあり決定会合前から政策変更の可能性を示唆する報道が相次ぎ市場ではある程度、政策変更を折り込む流れがありました。一方で、決定会合の2日目の結果発表直前に、主要メディアによる日銀の金融政策変更について詳細な報道がありました。結果発表では特に新たなニュースはなく、市場の反応も限定的でした。ブラックアウト期間中にメディアによる詳細な報道があったため、市場関係者の間では、情報管理のあり方に疑問を投げかける声があります。

金融政策の転換は市場で大きな注目を集めます。日銀がマイナス金利導入を決めた16年1月の決定会合の結果発表前に議論が報道されたことがありました。その際、日銀の関係者や政府関係者を調査した結果、日銀は「情報漏洩が疑われる事実は発見されなかった」とする調査結果を公表しました。

当局者が市場との対話(コミュニケーション)を図ることは重要です。政治家や金融当局者は時として、市場の反応を探るために「観測気球(アドバルーン発言)」と称される意図的な発言を投げかけることもあります。一方で、発言の禁止・自粛期間に政策に関するメディア報道が出てくる事態は、情報漏洩(リーク)を疑わせるもので、本来は歓迎しづらいものです。報道内容の解釈や受け止めには慎重さが求められます。

 

■まとめ

ブラックアウト・ルールとは、日銀など中央銀行の要人が金融絵施策を決定する前の一定期間、金融政策に関する対外発言を禁止するルールです。ブラックアウト期間中は要人発言が禁止されるので、ブラックアウト期間に入る直前の要人発言は大きな注目を集めます。また、ブラックアウト期間中でも金融政策の変更の思惑から相場が動くこともあり得ます。常に情報収集を意識することが大切です。

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


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