石破茂首相は11日、国会で第103代首相に指名される見通しだ。米国ではトランプ氏が大統領に返り咲くことが決定し、今後の世界秩序がどうなるか、様々な憶測や不安が交錯するなか、衆議院選で過半数割れの大敗を喫した自公政権を背負っての首相就任である。厳しい船出となる石破新政権を、市場関係者はどのように見ているのであろうか。
11日に発表された11月のQUICK月次調査<株式>で、自公政権が過半数割れをしたことを踏まえ、日本経済にとってどのような政権の枠組みが望ましいかを尋ねたところ、「自民党を中心に枠組みを広げた連立内閣」が望ましいと考える回答者が6割で最も多く、次いで「自民党・公明党の少数与党」が3割となり、「立憲民主党を中心とした連立内閣」が望ましいとする回答者は3%に留まった。自民党中心の拡大連立内閣は実現せず、自民党・公明党の少数与党が誕生するとすれば、日本経済にとってはやや不安な船出、ということになろう。
次に、9月のQUICK月次調査<株式>で「次期首相が取り組むべき最も重要な政策課題」として上位に挙げられた9件の政策課題が、石破新政権のもとで解決に向かって前進すると思うかを質問したところ、「前進する」「やや前進する」を合わせて5割を超えた項目が9件中、「半導体などの産業競争力強化」「継続的な賃上げ」「家計の資産形成の促進」「原発再稼働」の4件であった。逆に、石破新政権のもとで解決に向かって「前進しない」との回答が5割を超えた項目は9件中、「税と社会保障の改革促進」「少子化対策」「健全な財政運営の実現」「米国との良好な関係構築」「物価対策」の5件であった。痛みを伴うような、わが国の本質的な課題の解決は何れも進まない上、米国との良好な関係構築も期待できない、と市場関係者の過半は見ていることになる。ここまで市場関係者に期待されていない、となると、逆に「石破新政権には伸び代しかない」と前向きに捉えたくもなる。
最後に、最近、監督当局や取引所などの関係者によるインサイダー取引疑惑が相次ぐ原因は何かを質問したところ(2つ選択)、「プロフェッショナルとしての職業意識・倫理が乏しい」との回答が64%で最も多く、続いて「公正な市場を司る職責の重さを理解していない」(41%)、「遵法意識の欠如ならびに罰則が軽微なこと」(38%)となった。株式市場が価値創造のための社会的公器であることを強く意識し、監督当局や取引所関係者は勿論、金融業界に身を置く我々自身も、あらためて気を引き締めたいところである。
【ペンネーム:琴徹久】
調査は11月5~7日にかけて実施し、株式市場関係者126人が回答した。
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