QUICKコメントチーム=本吉亮、片平正二
14日の米国市市場では、中国やドイツの経済指標の悪化を理由に債券高が進み、2-10年債利回りが逆転する逆イールドが約12年ぶりに発生した。景気後退を示す逆イールドを受けてダウ工業株30種平均が今年最大の下げ幅を記録するなど、米主要指数が大幅安となる中で恐怖指数(VIX)が急騰した。リセッション入りに対する警戒感やボラティリティーが高まり、株式市場の先行き不透明感をより強める状況だ。
VIXは前日比26.14%高の22.10と急反発し、終値ベースで投資家心理の不安感を示すとされる20を上回っている。一般的には心理的な節目の20を超えるとリスクオフ、それ以下になるとリスクオンとされるが、直近のNYダウとVIXの関係性をみると、VIXが17を超えると相場が調整局面を迎え、それ以下になると堅調な相場になることがうかがえる。
また、BMOキャピタルマーケッツは14日付のリポートで、「最近の米株の弱さはVIXの急上昇と一致している。この市場環境を考えると、今後数カ月のうちにさらなる上昇が予想されるが、我々の研究によれば、それは米株の長期的なパフォーマンスの大きな障害になる事はないだろう」と指摘した。
1990年に遡ってVIXの上昇率が25%を超えた時のその週とその数カ月先のS&P500のパフォーマンスを分析したところ、VIXが急騰した後に短期的にS&P500は横ばいからわずかなプラスに転じたといい、その後の3カ月では上昇を記録していたという。急騰後の1カ月後、3カ月後、6カ月後を比べればそれぞれ1.1%、3.3%、5.4%上昇したといい、VIXの急騰に伴って下げた局面では逆に押し目買いのチャンスになるとみていた。
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