日経QUICKニュース(NQN)=矢内純一
「長期金利はもう下がらないのではないか」――。QUICKが9月30日に公表した9月の月次調査<債券>は、債券担当者のこんな思いが透ける結果となった。日銀が「経済・物価動向を改めて点検していく」と強調し、10月の金融政策決定会合では追加緩和が打ち出されるとの思惑がくすぶる。だが債券市場に限ると、参加者の間では長期金利が一段と低下することはないとの見方が優勢のようだ。
調査によると、長期金利(新発10年物国債利回り)の見通しは単純平均で、10月末はマイナス0.230%、12月末はマイナス0.224%、2019年3月末はマイナス0.202%だった。長期金利は9月4日に、過去最低に迫るマイナス0.295%を付けたが、年度内にこの水準を下回るとのイメージは少ないようだ。
<長期金利(新発10年物国債利回り)の見通し>
調査は24~26日に実施し、銀行や証券会社の債券担当者など131名から回答を得た。日銀の黒田東彦総裁は19日の記者会見で、長期金利について「操作目標としてゼロ%程度と申し、それを外れる状況をいつまでも容認するということはない」と発言。必要に応じて国債買い入れを調整するとした。
実際、日銀は20日と26日の国債買い入れオペ(公開市場操作)で、残存期間「5年超10年以下」の買い入れ額を減らしている。長期金利が下がっても、日銀が国債を買う量を減らすことで過度な低下は抑えられるとの見方が市場に広がりつつある。
最も注目している債券価格の変動要因についても、9月調査では「短期金利・金融政策」が64%で最多となった。7~8月は「海外金利」との回答が最多だったが、再び日銀の動向が関心を集めている。
<債券価格変動要因>
日銀の追加緩和の次の一手として有力視されるのは、マイナス金利の深掘りだ。日銀当座預金のうち、政策金利残高に適用されているマイナス0.1%の金利を引き下げるというものだ。長期金利の操作目標をマイナスに引き下げるという予想はほぼ聞かれないため、長期金利には低下圧力がかかっていない。
米中摩擦の激化などで国内金利に再び低下圧力が強まる可能性もあるが、債券市場はひとまず、行き過ぎた金利低下を抑えようとする日銀の姿勢に手応えを感じている。
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