アナリストによる主要企業の業績予想の変化を示すQUICKコンセンサスDI(6月末)は、金融を含む全産業ベースでマイナス38と、前月(マイナス39)から1ポイントの改善にとどまった。改善は2カ月ぶりだが、なお低調な水準だ。内訳は「強気」が56銘柄(全体の14%)、「変化なし」が140銘柄、「弱気」が209銘柄(全体の52%)だった。製造業DIは前月から1ポイント悪化しマイナス55、非製造業はマイナス17と前月(マイナス22)から5ポイント改善した。
- QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出する。DIがマイナスなら、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っていることを意味している。5社以上のアナリストが予想している銘柄が対象で、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかが分かる。
業種別でみると算出対象の16業種のうち、DIがプラスだったのは0(ゼロ)。マイナスは14業種で、変わらずが2業種だった。「卸売」や「食料品」、「非鉄金属」などは前月と比べ下方修正した銘柄の比率が増え、「建設」や「銀行」、「情報・通信」などは下方修正した銘柄の比率が減った。
3カ月前の予想純利益と比較した下方修正率の1位は86%減の東芝(6502)だった。6月1日に米国の液化天然ガス(LNG)事業を仏エネルギー大手トタルに売却すると発表した。売却に伴う一時金費用としてトタルに8億1500万ドル(約912億円)を支払うため、20年3月期に売却関連費用を含めて約930億円の損失を計上する見通しとなっている。「ゴーン問題」などが尾を引く日産自動車(7201)も落ち込みが大きい。一方、予想純利益の上方修正率が最も大きかったのは、北陸電(9505)の71%だった。
(ナレッジ開発本部)