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資産運用の種類と選び方を解説 初心者におススメの手法とは?自分に合った手法を選ぼう(資産形成イロハのイ)

【QUICK Money World 辰巳 華世】老後生活や年金の不安が高まっていることもあり、資産運用を本格的に始める個人投資家が増えています。今回は投資を最近初めたばかりの投資初心者の人向けに、資産運用とは何か?という基本的な説明から、資産運用の種類とその特徴、各資産運用のリスク・リターン、自分に合った資産運用の選び方を紹介します。

資産運用とは

資産運用とは、自分が持っている財産(資産)を運用し効率的に増やしていくことです。ここでいう「資産」とは、現金や貯金(預金)、株式等の有価証券、建物や土地といった不動産など、将来価値を生む可能性のある財産の総称です。

資産運用は大きく2種類に分けられます。元本が保証されている預金・貯金などでお金を貯めていく(守る)方法と、株式や債券などに資金を投資し、増やすことを目指す方法です。さらに細かい運用方法にはいくつか種類があり、その運用方法によって利益やリスクの幅が異なります。

運用で資産を増やす場合、運用商品やその時の状況によっては、損が出る場合もあります。そのため、投資は「怖い」、「ギャンブル」と感じる人もいらっしゃるかもしれません。しかし、投資とギャンブルは本質的に異なるものです。

たとえば株式投資は、企業の成長を期待して資金を投じます。その資金を元に企業が成長し、投資家の成長した利益の一部を受け取るものです。企業が成長することを前提にすれば、株式市場参加者全員の収支合計は、ゼロではなくプラスになります(プラスサム)。一方、ギャンブルは、娯楽が目的であり、集めた資金をただ分配しているだけです。主催者が賭金から運営料を差し引いた上で、残りを買った人に配分、負けた人は何も受け取れず、参加者全員の収支合計はプラスにはならない(ゼロサム、マイナスサム)仕組みです。この様に、投資とギャンブルは全く異なるものと言えます。投資初心者の資産運用はプラスサムとなる方法でやることをおススメします。

ただ、投資や運用も必ず成功するものではありません。そのため、資産運用の方法を選ぶ時は「リターン」、つまり収益率がどれほど見込めるか、そして「リスク」の可能性がどれくらいあるのかを踏まえた上で慎重に選択する必要があります。

ここで「リスク」という言葉について簡単に説明しておきます。「リスク」と聞くと、一般的には、「危険なこと」というイメージが強いかと思います。しかし、投資の世界での「リスク」とは、「得られる利益の不確実性の度合い、振れ幅の大きさ」を示しています。「リスク」が大きいということは、振れ幅が大きい、つまり、利益が大きくでる可能性もあるが、一方で損失が出た場合の影響も大きいという意味です。大きなリターンを取るためには、それに応じた大きなリスクを取る必要があるというのが、資産運用の大前提です。

資産運用の種類とその特徴

資産運用には、いくつかの種類・投資対象があります。ここではその種類とそれぞれの特徴について簡単に紹介します。

まず比較的リスクの低い(=大きなリターンは見込めない)ものから紹介します。リタイア直前など、現金が必要になるタイミングが近い方は、以下の資産で運用することをおススメします。

低リスク・低リターンとされる運用先

預貯金 銀行にお金を預けることで利息を得ることです。基本的には元本が保証(各銀行1000万円まで)されており、リスクは低いでが、金利も低いので受け取る利息も少ないです。
債券 国が発行した債券(国債、個人向け国債)や企業が発行した社債を購入することで利息を得ることができます。1万円から投資ができますが、利率はそれほど高くありません。
企業が発行する社債の投資は、企業の倒産リスクがあるため、利率が国債よりも大きいものがあります。なお格付が低い企業の社債はより利率が大きくなりますが、倒産リスクも相応に大きいと考えてください。
貯蓄型保険 保険料の支払いとして貯蓄し、満期や死亡時には支払った金額以上の資金を受け取る投資方法です。死亡保険や介護保険、学資保険などがあります。節税効果がありますが、短期間で解約した場合に元本割れ(支払ったお金よりも受け取るお金が少ない)する場合があるほか、外貨建てのものは為替レートの影響で円建ての受取金が元本割れする場合があります。

次に一定の大きさのリスク・リターンが期待できる運用方法を紹介します。いずれも資産運用では主要な手法と言えます。

一定のリスク・リターンが見込まれる運用先

株式投資 企業が発行する株式に投資し、購入時よりも価格が上昇した株を売却することで利益を得ます。株価は変動するので、損をする可能性もあります。一般的に業績が良い企業などは配当を出すので、配当収入を得ることもできます。
投資信託 投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、資金運用の専門家が株式や債券などに投資を行い、得た利益を投資家それぞれの投資額に応じて分配する商品です。専門家が運用してくれるので初心者におすすめの商品の一つです。
(参考記事)「投資信託とは何か?どう運用される?始め方やメリットもわかりやすく解説
iDeCo(個人型確定拠出年金) iDeCoは自分で申し込み、掛金を拠出し、保険や定期預金、投資信託など自分で運用商品を選択し、資産を形成する私的な年金制度です。税制メリットもあり利用する人が急増しています。
(参考記事)「iDeCo(個人型確定拠出年金)とは何か 拠出上限額やNISAとの違い、節税メリットなどをわかりやすく解説
不動産投資 マンションやアパートを購入し入居者の賃料で収入を得ながら将来的な売却に向けて運用していく投資です。投資にまとまった資金が必要です。投資後も物件の管理や入居者探しなど一定の手間がかかります。
住宅ローンで自宅を購入することも、ある意味では資産運用の一種と言えます。値上がりしたタイミングで売却したり、ローン返済後に賃貸として貸し出すことができるためです。
REIT(不動産投資信託) 不動産投資法人が投資家からお金を集め、マンションやオフィスビル、商業施設やホテルや物流倉庫など多様な不動産に投資をし、投資先物件からでる賃貸収入や売買による利益を投資家に分配する金融商品です。REITは証券取引所に上場しており、個別株式と同じ様に売買することができます。少額の資金で間接的に不動産に投資することができる商品と言えます。
(参考記事)「REITとは何か 株や不動産投資との違いを分かりやすく解説、利回りの推移も紹介

最後に、一般的にゼロサム・マイナスサムとされるものを紹介します。いずれも高リスク・高リターンの商品と言えます。初心者は資産形成・運用において手を出すと、思いがけない損失を被る可能性があるので、経験を積むまでは手を出さないことをおススメします。

高リスク、ゼロサムとされる運用先

金投資 世界共通で価値がある金を購入する投資です。金の購入する方法は、純金積立やスポット購入などいくつか種類があります。
金のようなコモディティ(商品)全般に、価格は需給(買いたい人と売りたい人のバランス)で決まるため、長期的にはゼロサムとなると言われています。
仮想通貨(暗号資産) 世界中で約800種類あるインターネット上のお金である仮想通貨を取引します。ビットコインは仮想通貨の一つです。価値の裏付けがないものが多く、値動きが激しいので注意が必要な取引です。
先物取引 デリバティブ取引の一つです。デリバティブとは株式、債券、金利、外国為替、通貨、金、原油など元の商品から派生した金融商品です。デリバティブ取引は、将来の売買価格を決めて取引することで価格の変動リスクを回避できたり、実際の投入金額より大きな取引ができるレバレッジを効かせた売買ができたりといった特徴があります。レバレッジがあるということは、リターンもリスクも大きいということです。
(参考記事)「デリバティブ取引とは 先物やオプションなど種類を解説、失敗時のデメリットに注意
FX(外国為替証拠金)取引 投資家が証拠金を業者に預け、レバレッジを効かせてドルやユーロなどの外貨を売買する取引です。為替相場の変動によって売買益を見込めます。外貨買いによっては「スワップポイント」と呼ばれる利息を受け取れます。ただ、相場急変時は大きな損失が出ることがあるので注意が必要です。

各資産運用のリスク・リターンを知り投資方法を決めよう

運用方法には上記の様にいくつか種類があります。それぞれの運用方法がどういうリスク・リターンの位置にいるのか確認してみましょう。

ローリスク/ローリターン(利益の不確実性の度合い、振れ幅は小さい代わりに、得られる利益も低い)

預貯金・債券投資・貯蓄型保険等

ミドルリスク/ミドルリターン(利益の不確実性の度合い、振れ幅はそれなりにあり、得られる利益もそれなりにある)

株式投資・投資信託・REIT・不動産投資等

ハイリスク/ハイリターン(利益の不確実性の度合い、振れ幅は大きく、得られる利益も大きい)

FX・仮想通貨・先物取引等

投資信託のリスク・リターン

初心者でも一定のリターンを狙う場合、投資信託がおススメです。

投資信託もその投資対象によって、リスク・リターンが異なります。以下は、国内株式、国内債券、海外(先進国)株式、海外(先進国)債券という、4つの伝統的資産に投資する投資信託について、それぞれのリスクとリターンを、投資対象ごとに色分けして図にしたものです。

(出所:2021年8月末時点のデータをもとにQUICK資産運用研究所作成)

リターンとリスクがおおむね比例しており、国内債券<先進国債券<国内株式≦先進国株式となっていることが分かります。リスクを許容できるタイミングでは国内外の株式に投資し、資産を守るタイミングでは国内外の債券に資金を移すというのが、王道的な資産運用と言えます。

自分に合った資産運用方法の選び方

資産運用の方法はいくつか種類があり、それぞれリスク・リターンも異なります。資産運用で大切なことは、自分の目的にあった運用方法を選ぶことです。ここでは、運用方法を選ぶ時に参考となるよう3つのパターンをご紹介します。1つ目は、運用期間から考える方法、2つ目は、運用資金の性質から考える方法、3つ目は、日々運用にかけられる時間から考える方法です。

運用期間と将来必要な資産額から考える

いつまでにどのくらいの資産が必要なのかを具体的に考えて、目的から運用方法を選びます。例えば、1~3年後など比較的短い期間しか運用できない場合は、リスクが大きい商品で損失を出してしまうと、残りの運用期間で損失を埋めることができません。比較的、リスクが低い商品で運用すべきでしょう。

一方、老後の資産形成が目的であれば、投資信託やiDeCoなどの制度を活用し、積み立てで長期運用を考えると良いでしょう。ただ、投資信託の場合でも、リスクの高い商品もあるのでどの商品を選ぶかは注意が必要です。10年以上の長期間運用が可能で、目標額が大きい場合は、リスク・リターンが大きい資産で運用する投資信託を選ぶのもありでしょう。

資産運用に使用できる資金に応じて選ぶ

手持ちの資金や毎月拠出できる額など資産運用に使用できる資金に応じて商品を選びます。資金額が大きければ、一部を短期投資、一部を長期投資と分け、2つを併行して運用することもできます。

また、失っても問題ない資金で運用するのであれば、よりリスクの高い資産を選択することもできます。ただし、値動きが激しいので常にマーケットに意識を向け動向を注視する必要があります。

投資の運用にかけられる時間で選ぶ

投資や運用をするには、常に社会情勢や経済状況などの情報を集め、マーケットを注視するなど時間がかかります。本業が忙しいといった理由で多くの時間を割けない場合や、初心者で難しい場合は、投資信託など投資のプロなど第三者が運用してくれる商品を中心に選ぶと良いでしょう。

長期の積み立て投資であれば、投資のタイミングを気にする必要がないため、マーケットを注視する必要がありません。そのため多忙な方におススメの投資法と言えるでしょう。

より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください!

まとめ

資産運用は、資金や目標によって適した方法が異なるので、それぞれの資産運用の特徴を理解したうえで自分に合った方法を選びましょう。

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


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