【QUICK Money World 辰巳 華世】株式投資に興味を持つ人が増えています。年金問題など老後資金の不安から資産運用をする人が増えたことや、2021年には約30年ぶりに日経平均株価が3万円台を付けたことが背景にあります。今回は、株式投資に関心がある投資初心者に向けて株式とは何かの基本的な説明から株でどのように資産を増やすことができるのか、資産運用で株を始めるにはどうしたら良いのか、おすすめの株の選び方、パソコンがなくても株の取引はできるのか、ネット完結型の取引と対面型の取引の違い、株式投資で資産運用を行うときのポイントなどを紹介します。
株式とは
株式とは、株式会社の企業が発行する証券のことです。企業はビジネスを展開する上でお金が必要です。例えば、より多くの商品を生産するための工場を建設する資金や、人員を増やすための人件費、新製品開発のための研究費などです。
企業が事業資金を調達する方法はいくつかありますが、その一つが株式発行によるものです。投資家は資金を提供することで株式を手に入れ、企業はその対価として資金を調達します。株を購入した投資家を「株主」と呼びます。
企業はその資金を元にビジネスを拡大させ利益をあげます。株式を購入した投資家は、購入する株数にもよりますが、配当金や株主優待を受けることができます。また、株主は、持ち分に応じて株主総会で会社が提案する議案に対して賛成・反対を表明する「議決権」を持つことができます。
証券取引所に上場している企業の株式は、市場を通じて売買することができます。株主は自分が購入した金額より株価が上がったタイミングで株式を売ると、その差額分だけ利益を得ることができます。儲かった場合は税金もかかります。一方、上場企業の株価は日々値動きがあるので、株価が購入金額より下落し、損をすることもあるので注意は必要です。
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投資家にとって株式投資の魅力は、株式売買による利益を得るチャンスがあること、配当、株主優待を受け取れる可能性があること、株式の持ち分に応じて株主総会などを通じて企業の意思決定に関わる権利があることがあげられます。
株でどのように資産を増やすことができるの?
株式投資では、株価上昇後の売却による利益や、配当金を受け取ることで資産を増やすことができます。企業は現金で支払う配当以外にも株主優待を出す企業もあります。株主優待は、商品、金券、割引券など様々な種類があります。
株式投資は、企業を応援したり社会をより良くするための行為とも言えます。投資された企業は、その資金を事業展開に活かし、さらに社会生活が豊かになるよう企業の成長と拡大を目指していきます。投資は、企業が成長するための仕組みの一つです。企業が成長することで、ひいては社会全体が良くなり国が成長します。投資した資金が巡り巡って成長に繋がることになります。
ただ、投資家にとって企業の事業成長は必ずしも予測できるものではありません。ビジネス拡大は必ずしも成功するものでもないので、リスクがあります。なので、社会情勢や企業の動向を確認しながら、慎重に投資先を決めていく必要があります。
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資産運用で株を始めるにはどうしたら良い?
株式投資をするには、証券会社で取引口座を開設する必要があります。対面の窓口を置いて営業する証券会社やネット専用の証券会社といった営業形態の違いや、投資信託など取引できる商品の多さ、手数料の高い安い、など様々なタイプ・特徴の証券会社があるので、自分に適した証券会社で口座を開くと良いでしょう。
口座を開いて取引を始めるには、証券会社の口座にお金を入金する必要があります。一般的には、一部の積立投信を除き、原則銀行口座から入金することとなります。クレジットカードの決済や入金はできません。
入金が完了したら、銘柄を決めて株式を購入することができます。株価は1株当たりの価格が表示されています。株式は一般的に100株から購入することができます。なので、例えば株価が3,500円だった場合、3,500円×100株=35万円の投資資金が必要です。これに購入手数料がかかります。1株から取引できるミニ株(単元未満株)の取り扱いをする証券会社もあります。ミニ株は、手元資金が少なくても取引できる利点があります。
株式購入の注文を出す場合、株価を指定して購入する「指値注文」と、現在の売り注文の最低価格に対して購入する「成行注文」があります。「成行注文」は他の投資家の注文状況や取引の活発さしだいで、思いがけない値段で購入してしまうことがあるので、初心者の方は注意してください。
注文が約定すると購入取引が完了します。多くの証券会社では、自分の取引の状況をインターネット上のサイトで確認することができます。
株を購入したらその後の株価を観察しながら売却や追加購入のタイミングを判断していきます。
おすすめの株の選び方
投資で大切なことの一つに分散投資があります。なので、株式投資をする時も1つの銘柄ではなく複数の銘柄に投資をすることが望ましいです。1つの銘柄や1つの業界に集中して購入するのではなく、違う業界の株式を分散して購入することでリスクを軽減することができます。
銘柄を選ぶ基準は人によって様々ですが、一般的に株式投資で運用する魅力は、売買によって利益を得ることと配当を得ることがあります。
配当を得ることに注目した場合、銘柄を選別する基準に「配当利回り」があります。配当利回りとは購入した株価に対して一年間でどれだけの配当を受け取ることができるかを示したものです。一般的に業績が良い企業は1年に1回、もしくは年2回、株主に対して配当を出します。
配当利回りの計算式
配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価格×100
配当利回りは、%が大きいほど得られる利益は増えます。ただ、配当利回りは、分母が株価なので株価が下がると相対的に利回りが高くなるので、その点は注意してください。株価が下がれば相対的に割安(=高利回り)で買えますが、株価が下がっている理由を同時に押さえておくことが重要です。株価が将来の業績の悪化をにらんで先行して下落していたため、配当が減額されてしまい、結局それほど高い利回りではなかった、ということもあります。業績が安定していて利回りが高めの銘柄を探すことがポイントです。
なお、配当利回りは自分でいちいち計算する必要はありません。株価情報の画面で「配当利回り」が表示されていることが多いです。このサイトの個別銘柄ページでも掲載しています。
次に、売買による利益に着目した場合は、割安の株や今後成長が見込める株式を購入することになります。割安の株を探す基準の一つにPER(株価収益率)があります。
PERは、企業の現在の株価が「割高」か「割安」かを判断する時に使われるもので、最も有名な投資指標の一つです。
PERの計算式
PER(倍)=株価 ÷ 1株当たりの利益
1株当たり利益は、損益計算書(P/L)の当期純利益を発行済株式数で割ったものです。株価を一株当たり利益で割ることで、PERは「1株当たり利益の何倍まで株価が買われているか」を示しています。多くの企業は決算を発表する際、利益について実績の数字と予想の数字を発表します。株式投資は先行きに対して買ったり売ったりする性質があるので、一般的にPERは実績ベースより予想ベースの方が注目されます。
例えば銘柄を探す時に、その時の東証1部の全銘柄の平均PERを確認し、それより低い銘柄を購入したり、同じ業種で見比べたりして割安の銘柄を探すことができます。一般的に日本企業の平均PERは15倍程度と言われており、それ以下の株を購入するのも一つの基準かもしれません。PERも自分でいちいち計算する必要はありません。株価情報のページに予想PER・実績PERと表示されているケースが多く、このサイトでも個別銘柄ページに掲載しています。
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パソコンがなくても株の取引はできる?
株式売買は、インターネットを通じてできます。その場合、パソコンがなくてもスマートフォンでも可能です。証券会社ごとに投資アプリなども提供しています。
インターネットに接続できる機器がない場合は、対面型の証券会社を使って取引することができます。その場合、店舗や電話を通じて証券会社の担当者に注文を出すことになります。
ネット完結型の取引と対面型の取引の違いとは
株式投資は、ネット完結型の取引と対面型の取引があります。
ネット完結型の場合、口座開設から株の購入、売却までインターネット上で完結します。基本的には相場状況や銘柄の情報など自分で情報収集をする必要があります。ただ、多くのネット証券はコールセンターなど電話での窓口もあります。操作が分からない場合や何か困ったことがあった場合はコールセンターにかけることで解決することができます。ネット証券の中には電話の自動音声で株価状況を提供したり、オペレーターへ株の売買の電話注文を出せる会社もあります。ただ、ネットでの売買に比べ電話注文は多少手数料が高くなる可能性があります。
一方、対面型の場合、証券会社の担当者と電話や店舗などでやり取りすることで取引することができます。担当から購入する銘柄についてアドバイスをもらえることもあれば、おすすめの投資商品を提案されることもあります。一般的に手数料はネット証券に比べ対面型の方が高いです。購入金額や商品にもよりますが、ネット完結型の10倍以上になるところも多いです。
株式投資で資産運用を行うときのポイント
株式投資で資産運用する時のポイントをいくつか紹介します。
株式投資で利益が出た場合は、税金がかかります。通常の投資の場合、投資から得た利益に対して20.315%の税金がかかります。例えば100万円利益を得ても手元に入ってくるのは約80万円になります。株式投資で資産運用をする場合、少額投資非課税制度(NISA)を利用すると良いでしょう。NISAは、個人投資家を対象とする非課税制度でニーサと呼びます。NISA口座で購入した金融商品から得た利益は、税金がかからなくなります。毎年120万円までの投資による利益(売却益、配当金、分配金など)が、最長5年間非課税となります。
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株式投資には、自分が出したお金だけで取引する方法以外に、レバレッジ取引で手持ちの資金以上の取引が可能となる投資があります。先物取引や信用取引などは、レバレッジを効かせて大きな利益を狙いにいくことができる取引です。ただ、自己資金を超える損失がでる可能性もあります。なので、こういった取引をする際には、大きな損失が発生するリスクがあることを念頭に置くことが大切です。また、投資経験の浅い人には向かない取引かもしれません。
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レバレッジを効かせた取引でも、自分が出したお金だけで取引する現物取引でも、株式投資は予算を決めた上ですることが大切です。株式投資は、数万円という少額からでもできるので、必要な生活資金まで切り崩して株式投資をすることはおすすめしません。
まとめ
株式投資は資産を増やすための運用方法の1つであり、社会貢献とも言えます。まずは株式投資に使える資金を確認したり少額から投資をすることで、投資する株や社会情勢など情報収集することから始めてみましょう。
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